みなみレポ寄せ集め

みなみレポ

雪まつりバイトレポNo.1

2016年2月4日(木)

 

絶対に落ちたと思われた雪まつりバイトの面接になぜか合格してしまい、遂にみなみは初出勤日を迎えてしまった。

今回のバイトに応募した理由は遊ぶ金欲しさであったのだが、よくよく資産を数えてみると思っていたより10万ほど多く、みなみは早々に雪まつりバイトをする意義を失っていた。初出勤日にしてテンションは最底辺である。

とは言え仕事は仕事、金があって損することは無い。事前のメールで知らされていた通りメニュー、金額を頭に叩き込み店舗に向かった。

余談ではあるが自分が想像していた店舗の半分ぐらいの大きさしかなかったため店舗の存在に気付かず会場内で迷い続け、危うく初出勤で遅刻をするところだった。

兎に角、店舗につくと既に社員の人と他のバイトメンバーが作業を始めていた。みなみは遅番を中心に任される予定だった為、集合時間が一番遅かったのである。

自己紹介もそこそこに、エプロンと三角巾をつけみなみも作業に取り掛かった。このとき店舗内では甘酒やホットワインなど寸胴で売り物の仕込みを行っていた為、さっそくみなみは社員の人に何か仕事は無いか聞いた。積極性のあるグローバル人材の鑑である。

 

「あ、じゃあ……そうだね、みなみさんお酒飲める?ちょっとそこのホットワイン味見してみてくれない?」

 

なんということでしょう、出勤して5分足らずで飲酒が確定しました。

社員の人が言うにはホットワイン以外でも飲み物は積極的に味見をして、品質が落ちていないか、加熱により濃くなりすぎていないかを確かめてほしいらしい。

そういうことなら仕方がない。みなみは喜んでホットワインを飲んだ。砂糖が足りないと思った為勝手に足したが怒られなかった。

そんなこんなでホットワインの調節をしていると、面接で見たことのある人が現れた。社長の奥様、Mさんである。この奥様は非常に美人で働き者、社長をしっかりと支える良妻の鑑であった。

面接にみなみがいたことも覚えてくれていたようで、みなみが少しうれしかったのは内緒である。

奥様も到着し、我々バイトはチョコバナナの作り方を奥様から直々に仕込まれることになった。しかしみなみにはチョコバナナ作りに対する自信があった。何を隠そう、採用決定メールに書いてあった『バナナに割り箸を刺せるように練習しておいてください』を馬鹿正直に受け取り、バナナに割り箸を刺す練習をしていたのである。

1番初めに刺した時はバナナの外側を刺しすぎて割り箸が貫通してしまったが2回目に刺した時に貫通することは無く、少し不安定ではあったがみなみは割り箸の刺し方を覚えたつもりだった。

 

「じゃあまず、バナナの皮を剥いて……割り箸を用意します。」

ここまでは想定内であった。

「次に、割り箸の太い方をバナナに刺します。」

えっなにそれ聞いてない。太い方だと!?

 

完成したチョコバナナを刺しておく台の都合上、持ち手側の太さにバラつきがあってはならないから太い方を刺すらしい。

成程そう言われてみればその通りであるが、みなみは割り箸の細い方をバナナに刺す練習しかしていない。家での練習とはいったい何だったのだろうか。

予想外の展開に驚きはしたが、何とか失敗せずにチョコバナナを作れるようになった。

必死でバナナに割り箸を刺す我々を見て奥様は満足げにこう言った。

 

「他の店舗では山のように失敗してるから、練習だと思って失敗しても気にしないでね。今日で作り方覚えてくれれば良いから。」

 

家での練習とはいったい何だったのだろうか。

 

何とかチョコバナナとの闘いを終え、奥様は自分の店舗へ帰って行った。入れ替わりのようにやってきた社長・店長とともに寒さと闘いながら店の外装などを施しこの日のバイトは終了した。

遅番中心と聞いていたのでバイト初日から22時までかと身構えていたがバイト初日は雪まつり開催日前日の為お客さんが少ないらしく、早く帰らせて貰えることになった。非常に寒かった為有難かった。

次の出勤日は翌々日2月6日の14時から、この日こそ土曜且つ雪まつり2日目でお客さんが入るらしいので22時まで出てもらう事になるだろう。との旨を伝えられみなみは覚悟を決めつつ帰宅した。

休日の雪まつり、相手にとって不足なしである。

 

 

 

 

2016年2月6日(土)

 

いよいよ本格的に雪まつりバイトが始まる。

簡単な英会話も覚えた、勿論メニューもすべて覚えている。暗算も得意。化粧の準備も出来ている。

いつ闘いのゴングが鳴っても良いように臨戦態勢である。

その時、電話が鳴った。

 

「あー、みなみさん。今日のシフトに入ってたと思うんだけど、今日雪が酷くてお客さん少ないから悪いけど今日はお休みってことで良いかな?」

 

窓の外では青空が広がっていた。勿論バイトは休んだ。